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野菜の放射能汚染とワンドロップの方針

大震災、原発事故という、大きなショックが日本を襲った平成23年3月。野菜の放射能汚染問題が起き、野菜の流通を担うものの一端として弊店も大いに悩み、悶々とした日々を過ごした時期もありました。それ以降、私達はできる限り正確な情報を集め、また放射能に対する正確な知識を得ようと努めてきました。そしてその結果、現在では私達なりの明確な考え方と方針を持っています。その内容について下記に書いていきたいと思います。

 

 

 

野菜の放射能汚染の経緯と現状
平成23年3月の原発事故で起きた大量の放射性物質の放出により、福島県だけでなく関東、東北の近県でも農作物から放射性物質が検出され、ホウレンソウなどが当時の暫定基準値を超えたため出荷停止措置がとられました。しかしながらその後、原発の大規模な爆発はなく、新たに放射性物質が広域に拡散する事態はなんとか防がれました。そのため野菜の放射性物質の数値も下がっていき、暫定基準値を下回ったことが確認され4月中旬ごろから福島県の原発に近い地域を除いては出荷制限が解除され、現在に至っています。
当初、関東、東北で野菜から検出された放射性物質は、3月の爆発後に風雨に乗って「上から降り注いで表面に付着したもの、またそこから葉面吸収されたもの」でした。現在は、3月の爆発時のような「上からの飛散」はありません。また当初ヨウ素が高い値で検出されましたが、ヨウ素は半減期が2週間と短いので現在は問題ありません。野菜の放射性物質の濃度が下がっていったのはこのためです。この2点をふまえ、今私たちが最も注意すべきは「大規模放出時に農地に降り注いだセシウムが、地域ごとにどのくらいの量か」そして「農地に降り注いだセシウムを、農作物が根からどの程度吸収するのか」ということだと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

1.セシウムがどれくらい沈着したのか

 

文部科学省作成 セシウムの沈着量マップ 図1

 

この図1は、文部科学省が「1平方メートルにセシウムがとれだけ沈着しているか」を調べたものです。報道等でご覧になられた方も多いと存じますが、この沈着量マップを見るとセシウムの青い帯が関東、東北に伸びているのがわかります。

 

文部科学省 農地土壌の放射性物質分布図 図2

 

続いてこの図2は、「農地土壌に放射性物質がどれだけ蓄積しているか」を調べたものです。図1と違う点は、図1は「地表表面の1平方メートルあたりに沈着しているセシウム」を調査しているのに対し、図2は放射性物質の農作物への影響を調べるため、「農作物が耕起による土壌のかくはんや作物の根が張る深さを考慮し、水田は約15センチ、畑地は最大30センチの深さで土壌を採取し、土壌中に含まれる放射性セシウムの濃度を測定した」と書かれています。土壌1キロあたりに対し、灰色点500ベクレル以下、青点1000ベクレル以下、緑点1000~5000ベクレル、黄点5000~10000ベクレル、オレンジ点10000ベクレル~25000ベクレル、赤点25000ベクレル以上となっています。これを見ると福島県西部では緑の点や原発周辺地域では黄色や赤地点がみられるものの、それ以外の地域ではほぼ灰色点の500ベクレル/K以下であることがわかります。より詳細なデータは文部科学省のホームページにてみることができます。

 

http://www.s.affrc.go.jp/docs/map/240323.htm

 

 

 

2.セシウムを農作物がどれくらい吸収するのか

 

これは、作物ごとのセシウムの吸収率(移行係数)を表にしたものです。例えばニンジンであれば移行係数は平均値で0.0037とされています。これは土壌1kあたり仮に100ベクレルだったとすると、×0.0037で人参1キロあたり0.37ベクレルになるということを示しています。根菜類で比較的移行係数が高いのは、セシウムの蓄積が多い地表近くに根を張るからです。また葉物類、果菜類の移行係数は0.01以下が多く、比較的吸収率は低いといえます。ただしこの移行係数はデータがまだ少ないことと、土壌の石灰など他の成分や土質などでかなりの変動がみられると指摘されています。

 

以上、①②をふまえた上で、私たちなりの認識をまとめます。
福島県、栃木県以外の地域の農産物について・・農地土壌の放射性物質濃度はほぼ500ベクレル以下であること、またセシウムの移行係数が概ね0.001以下であることから、セシウムの影響がでることはほとんど考えられません。実際、あらゆる機関の検査結果を見てもほぼ不検出となっています。これまでの間、すでに十分に検査も行われており、安全性は確保されていると考えます。
福島県産、栃木県産の農産物について・・・図1にあるように、農地土壌のセシウム濃度が1000ベクレルを超えている地域がたくさんあります。これらの地域については、まだ農産物にセシウムの影響が出る可能性があります。実際、これらの地域では出荷前に必ずセシウムの検査が行われています。概ねが不検出となっていますが、10ベクレル~50ベクレル程度のセシウムが検出されているもののあります。私たちとしては、検査結果が確認できれば、安全性は確保できると考えています。
以上が私たちの野菜の放射性物質汚染に対する認識です。とはいえ、土壌によって移行係数に差がでる可能性、検出限界が20ベクレルの場合それ以下の数値で出ている可能性など、放射性物質のリスクはゼロではありません。しかしそれらを考慮しても、私たちは許容できる範囲のリスクと考えています。